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お金・税金

ふるさと納税の仕組みを経理が分かりやすく解説|会社員・副業民の注意点も

2026年6月22日

「ふるさと納税ってお得らしいけど、仕組みがよく分からない」——これ、実はとても多い悩みです。私も経理として、同僚から「結局あれって何なの?」と何度も聞かれてきました。

結論を先に言うと、ふるさと納税は「来年払う住民税などを前払いして、お礼の品(返礼品)をもらう」制度です。節税というより「どうせ払う税金で買い物ができる」イメージ。経理歴22年・FP3級の視点で、仕組みと落とし穴を整理します。

ふるさと納税とは?一言でいうと

ふるさと納税は、好きな自治体に「寄付」をすると、自己負担2,000円を除いた金額が、所得税・住民税から控除される制度です。

例えば3万円を寄付した場合、2,000円を引いた28,000円が税金から差し引かれます。実質2,000円の負担で、寄付先からは返礼品(その地域の特産品など)が届く——だから「お得」と言われるわけです。

寄付額 − 2,000円 = 税金から控除される金額(上限あり)

大事なのは「税金が安くなる(減る)わけではない」こと。あくまで「払う先と払い方を変えて、返礼品をもらう」制度だと理解すると、勘違いがなくなります。

現場から経理歴22年・ゆるゴースト

数年前、職業訓練校に通っていたときに、受講生のみなさんの前でふるさと納税の説明をしたことがあります。スライドを自分で作って発表しました。

そのとき、いちばん時間をかけて伝えたのがこの一言です。

「ふるさと納税は、納めるべき税金の額が変わるわけではありません。翌年の税金を、先払いしている感じです。」

「お得」という言葉だけが先に届いてしまうと、税金が減る制度だと思ってしまう人が本当に多いのです。減るのではなく、払う先と払うタイミングが変わって、そのお礼に返礼品がもらえる。ここを先に押さえておくと、あとの話が全部すっきり入ってきます。

控除の流れ:お金はどう動く?

経理目線で、お金の動きを時系列で見てみましょう。

  1. 今年:自治体に寄付する(例:3万円を支払う)
  2. 返礼品が届く(寄付のお礼)
  3. 寄付の証明(受領書 or ワンストップ申請)を保管
  4. 翌年:所得税の還付+住民税の減額という形で、28,000円分が戻ってくる/差し引かれる

つまり、先に払って、後で税金の形で戻る。手元のキャッシュは一時的に出ていくので、「無料でもらえる」わけではない点は押さえておきましょう。

上限額(限度額)の考え方

ふるさと納税で一番大事なのが「上限額」です。これを超えて寄付すると、超えた分は自己負担になり、お得ではなくなります。

上限額は、ざっくり言うと収入(所得)と家族構成で決まります。収入が多いほど上限も大きくなります。

  • 正確な金額は、各ふるさと納税サイトの「控除上限額シミュレーター」で試算するのが確実
  • 源泉徴収票(年末にもらうあの紙)の数字を入れれば計算できる
  • ギリギリを狙わず、少し余裕をもった額にするのが安全(年の途中で収入が変わることもあるため)

経理としての本音を言うと、上限ギリギリまで攻めて自己負担が増えるより、8割くらいの安全圏で楽しむほうが結果的に得です。

【注意】税金を払っていない人は、得をしません

ふるさと納税の記事はたくさんありますが、「使わないほうがいい人」について書いてあるものは多くありません。ここが一番大事なので先に書きます。

ふるさと納税は、すでに納める予定の税金から差し引く制度です。ということは、差し引く元の税金がない人には、戻ってくるものがありません。

  • 収入が少なくて所得税も住民税もかかっていない人
  • 各種控除で課税される所得がゼロになっている人

こうした場合、寄付したお金は控除されず、全額が自分の負担になります。返礼品はもらえますが、「実質2,000円」にはなりません。ふつうに買い物をしたのと同じか、それより高くつくこともあります。

現場から経理歴22年・ゆるゴースト

職業訓練校で説明したとき、聞いてくれていたのはこれから就職しようとしている方たちでした。だから最後のスライドには、こう書きました。

「年収が低く、所得税・住民税がかかっていない人は、税額控除が受けられません。いい就職先をみつけて、来年はふるさと納税してみませんか?

お得な話をする前に、その人が得をする立場にいるかどうかを確かめる。給与計算や年末調整をしていると、税金がかかっていない人が実際にいることを毎年見ているので、そこは省けませんでした。

いまの自分に控除できる税金があるかどうかは、源泉徴収票を見れば分かります。「源泉徴収税額」が0円で、住民税も引かれていないなら、その年はいったん見送るのが安全です。

ワンストップ特例 vs 確定申告、どっちを使う?

控除を受ける手続きには2つの方法があります。ここで副業がある人は要注意です。

ワンストップ特例確定申告
対象確定申告が不要な給与所得者確定申告をする人全て
寄付先の数年間5自治体まで制限なし
手続き各自治体に申請書を提出申告書に寄付金控除を記載
こんな人に会社員で確定申告しない人副業・医療費控除などで申告する人

もうひとつ、意外と知られていないのが「どこから控除されるか」が2つで違うことです。

  • 確定申告/「寄附金受領証明書」を保管して申告する。所得税と住民税の両方から控除される(所得税は還付、住民税は翌年度の減額)
  • ワンストップ特例/「特例申請書」と本人確認書類を郵送またはオンラインで提出する。所得税からの還付はなく、全額が翌年度の住民税から控除される

戻ってくる合計はどちらもほぼ同じです。ただ戻り方が違うので、「還付金が振り込まれない」とあわてないように、自分がどちらを使うのかを先に決めておきましょう。

【重要】副業で確定申告する人はワンストップが使えない

ここが副業民の落とし穴です。確定申告をすると、ワンストップ特例の申請は無効になります

つまり、副業の所得が20万円を超えて確定申告する人や、医療費控除を受ける人は、ふるさと納税も確定申告の中で寄付金控除として申告し直す必要があります。ワンストップ申請を出していても、確定申告をするなら寄付分を申告書に必ず含めてください。これを忘れると控除が受けられず、ただの寄付になってしまいます。

「確定申告はいくらから必要?」——そう思ったら20万円ルールへ。20万円ルールの正確な中身が分かります。自分が確定申告する側かどうかを先に確認しておきましょう。

副業がある人のふるさと納税の注意点

  • 上限額は副業所得も含めて変わる:副業で所得が増えると上限も上がる(が、読みにくいので余裕を持つ)
  • ワンストップは使えない前提で考える:確定申告するなら申告書で寄付金控除を申請
  • 寄付の受領書(証明書)は必ず保管:確定申告で必要になる(電子データでも可)
  • 申告のタイミングを合わせる:副業の申告と一緒にふるさと納税も処理すれば二度手間がない

会社員の節税全体の中でのふるさと納税の位置づけは、会社員ができる節税対策まとめでも触れています。

経理から見た「ふるさと納税の本当のメリット」

節税効果はゼロ(むしろ自己負担2,000円かかる)ですが、それでもおすすめできる理由があります。

  • どうせ払う税金で返礼品がもらえる:実質2,000円で各地の特産品が手に入る
  • 税金の使い道を自分で選べる:応援したい自治体に貢献できる
  • お金の流れを意識するきっかけになる:自分の税額や上限を知ることで、家計の感度が上がる

「節税」と身構えるより、「税金で楽しく買い物する制度」と捉えるのが、長く続けるコツだと思います。

まとめ

  1. ふるさと納税は「税金を前払いして返礼品をもらう」制度。税額そのものは減らない
  2. 自己負担2,000円を除いた額が、上限の範囲で税金から控除される
  3. 上限額は収入と家族構成で決まる。シミュレーターで余裕をもって試算
  4. 副業で確定申告する人はワンストップ特例が使えない→申告書で寄付金控除を申請
  5. 受領書(正式には「寄附金受領証明書」)は必ず保管
  6. 所得税・住民税がかかっていない人は控除されない(全額自己負担になる)

仕組みさえ分かれば、ふるさと納税は会社員にも副業民にも使いやすい制度です。まずは自分の上限額をシミュレーターで確認することから始めてみてください。

※税制は改正されます。また同じ内容でも、所得の金額・勤務先の状況・お住まいの自治体によって扱いが変わることがあります。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務相談ではありません。控除上限額・制度の詳細は収入や家族構成により異なります。具体的な金額・手続きは各ふるさと納税サイトのシミュレーターや、お住まいの自治体・税務署・税理士にご確認ください。2026年6月時点の情報に基づきます。

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ゆるゴースト
ゆるゴースト
現役の経理事務職(経理歴22年・日商簿記2級/FP3級)/ keiri-fukugyo.com

日商簿記2級・FP3級保有。中小企業で経理を担当しながら、総務・労務・人事も兼任しています。これまでに勤めた会社では、一般事務や営業事務も経験しました。実務で培った知識をもとに、副業に取り組む人向けの情報を発信しています。

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