「総務の経験って、副業に使えるのかな?」
私も副業について調べ始めたとき、そう思いました。
総務は、給与や社会保険、採用、備品管理、社内書類など、会社によって担当する仕事がかなり違います。「総務です」と言っても、中身は人によってまったく別ものです。だから「これが自分の専門です」と言いにくい。自信が持てない気持ちは、よく分かります。
私自身、これまで経理だけでなく、総務や労務、一般事務も担当してきました。その経験から考えると、総務の仕事をそのまま「総務」という名前で副業にするのは、たしかにむずかしいと思います。
でも、これまでやってきた業務を一つずつ切り出してみると、副業につながる仕事が見えてきます。この記事では、その切り出し方を5つ書いていきます。
「総務には専門がない」は思い込み
まず、あなたが本業でやっているこれらの業務を「スキル」として言葉にして書き出してみましょう。
- 文書・資料の作成と管理:社内文書、案内文、規程類の整備
- 会議・イベントの運営:日程調整、案内、議事録、当日の段取り
- 調整業務:部署間・取引先・業者との連絡や手配
- こまごました事務ぜんぶ:備品・契約・郵便物などの細かい管理を漏れなく回す力
個々は地味でも、「幅広い仕事を正確に、期日どおりに、気を利かせて回せる」という総合力は、オンラインの事務代行市場でそのまま高く評価されます。専門特化型の経理・労務とは違う戦い方ができるのが総務です。
総務の経験がそのまま活きる副業5つ
金額について。ここに書いた数字は、私がクラウドソーシングサイトの公開されている募集を見た範囲のものです。公的な統計はありません。「相場」として保証できるものではなく、実際の金額は案件の中身・件数・会社によって大きく変わります。目安として読んでください。
先に断っておきます。ここに挙げる5つを、私が全部、副業として受注したわけではありません。なので「会社で実際にやってきた業務」と「経験から副業になりそうだと考えた仕事」を分けて書きます。どちらなのかは、それぞれの見出しの下に書いてあります。自分の経験と重なるかどうかの判断に使ってください。
① オンラインアシスタント(募集で見た金額:時給1,200〜2,000円程度)
● 会社で実際にやってきた業務
総務系の副業では、私が実務の経験から見ていちばん入りやすいと思うのがここです。企業のバックオフィス業務をオンラインで代行するサービス(オンラインアシスタント)に登録し、事務作業全般を請け負います。
- メール対応、スケジュール調整、資料作成、データ整理、下調べなど業務は多彩
- 募集を見ていると「幅広く対応できる人」を求めているものが多い=総務の経験と重なりやすい
- 時給で決まっている募集が多く、在宅で完結するものもある
専門特化の仕事と違い、「これしかできない」がない総務出身の人は、任される仕事の幅を広く取りやすいのがいいところだと思います。案件の探し方の基本は案件の探し方の記事と同じです。
② 議事録作成・会議運営サポート(募集で見た金額:1件2,000〜10,000円程度)
● 会社で実際にやってきた業務
オンライン会議の議事録作成は、クラウドソーシングの定番案件です。録画・録音データから要点を整理して議事録に落とす仕事で、本業で議事録を取り慣れている総務担当者なら即戦力。
さらに、オンラインイベントやウェビナーの運営サポート(参加者管理・開始前のお知らせメール送付・当日の進行補助)も増えている分野です。「会議の段取りを仕切ってきた」経験がそのまま活きます。
③ マニュアル・社内文書の整備サポート(募集で見た金額:案件単位で数万円〜)
● 会社で実際にやってきた業務
業務マニュアル、社内規程のひな形整備、引き継ぎ書の作成代行です。「担当者しかやり方を知らない仕事を文書に落とす」仕事は、どの会社でも後回しになっていて、外注ニーズが根強い領域です。
- 聞き取り→仕事の流れの整理→マニュアル化、という進め方
- 総務として「社内の誰が何をしているか」を見てきた人は、業務の全体像をつかむのが速い
- 単価が高く、完成後に「他の業務もお願いしたい」と広がりやすい
④ 資料作成・スライド作成代行(募集で見た金額:1枚500〜2,000円程度)
● 会社で実際にやってきた業務
PowerPointの資料作成、Wordの文書清書、Excelの表の整形など。「見やすく、体裁の整った資料を作る」力は立派な商品です。社内文書や案内文を大量に作ってきた総務経験者は、スピードと正確さで差をつけられます。
Excelのスキルを伸ばすと対応できる案件がさらに広がります(経理で使うExcelスキルも参考に)。
⑤ 総務系のテンプレート・チェックリスト販売(ストック型)
○ 経験から「副業になりそう」と考えた仕事
備品管理台帳、入社受け入れチェックリスト、株主総会・会議の準備リスト、文書テンプレートなどを、ココナラやnoteで販売する方法です。本業で自分用に作った「仕組み」が、そのまま商品の原型になります。
一度作れば売れ続けるストック型なので、①〜④の「働いたぶん収入になる仕事」と組み合わせると収入が安定します。社外秘の情報は含めず、一般化して作り直すのがルールです。
踏み込んではいけない領域(弁護士・司法書士)
総務は経理・労務ほど資格の壁は多くありませんが、注意点はあります。
| 業務 | 無資格でできるか(原則) |
|---|---|
| 文書の清書・体裁調整・テンプレート作成 | 原則できる |
| マニュアル・チェックリストの作成 | 原則できる |
| 会議運営・議事録・調整業務の代行 | 原則できる |
| 契約書の内容チェック・法的助言 | 原則できない(弁護士の独占業務。非弁行為にあたるおそれ) |
| 登記申請書類の作成・提出代行 | 原則できない(司法書士の独占業務) |
※この表は原則の整理です。同じ名前の作業でも、実際の中身によってあてはまり方が変わります。迷ったら、それぞれの会(税理士会・社労士会・弁護士会など)や所管の役所に確認してください。
「契約書のテンプレートを清書する」のはOKでも、「この条項で大丈夫か見てほしい」に答えるのは法律判断=弁護士の領域です。経理・労務側の線引き(税理士法・社労士法)とあわせて、法律の境界線の記事で考え方を押さえておいてください。
まず動くなら「オンラインアシスタント登録」から
- 就業規則の確認と経験の書き出し・整理:作った文書・回した会議・整備した仕組みを書き出す(副業の始め方5ステップ)
- オンラインアシスタント・クラウドソーシングに登録:「事務代行」「議事録」「資料作成」で検索
- プロフィールで「幅広さ」を具体的に見せる:「総務歴◯年。文書管理・会議運営・部署間調整まで対応」と書けるのは総務だけ
収入が増えたら税金の準備も忘れずに(20万円ルール)。
現場から経理歴22年のゆい
総務の仕事は「これ」と決まっていないのが特徴です。私の会社では、補助の方に備品管理をお願いしていますが、それ以外の総務まわりは経理と一緒に私が見ています。
給与ソフトをオンプレ版からクラウド版に入れ替えたときも、担当したのは私でした。「担当が決まっていない仕事が回ってくる」のが総務です。
このとき本当に大変だったのは、システムの設定ではありませんでした。給与明細が紙から電子になることを、社員に受け入れてもらうことです。説明して、お願いして、それでもいまだに10名ほどには紙で出しています。仕組みを変えるより、人の慣れを変えるほうがずっと時間がかかります。
この「調整して、説得して、落としどころを見つける」力こそ総務の中身です。そしてその雑多さが、副業では「何でも頼める人」という強みになります。
まとめ
- 総務の「何でも屋」スキルは、在宅の事務の仕事で使い回しが効く
- 入りやすいと思うのはオンラインアシスタント。幅広さがそのまま強みになる
- 議事録・マニュアル整備・資料作成・テンプレ販売と選択肢は多彩
- 契約書の法的チェックは弁護士、登記は司法書士の領域。踏み込まない
- プロフィールでは「幅広さ」を具体的な業務名で見せる
「専門スキルがない」と思っている総務の人ほど、実は働き手としての価値のある総合力を持っています。経理・労務・人事の記事(経理/労務/人事)とあわせて、自分に合う入口を見つけてください。
参考・出典(公的機関のサイト)
※副業の需要や案件数について、公的な統計はありません。この記事の見立ては、公開されている募集と筆者の実務経験にもとづくものです。実際の募集状況は、クラウドソーシングサイトなどでご自身でも確かめてください。本記事は一般的な情報を紹介するもので、個別の法律判断を行うものではありません。単価・相場は執筆時点の各種クラウドソーシングサイトの公開案件をもとにした目安であり、保証するものではありません。弁護士法・司法書士法など関連法令の解釈に迷う場合は専門家にご確認ください。2026年7月時点の情報に基づきます。
