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副業の実務

【実務記録】月次決算とは|締まる日は1つじゃなかった現場の話

2026年6月28日

「月次決算」という言葉、経理の求人でよく見かけますよね。「月次決算ができる人」は経理として一段上に評価されますが、具体的に何をするのかは意外と知られていません。

この記事では、経理歴22年の視点で、月次決算とは何か・なぜやるのか・どんな流れで進めるのかを、実務目線で分かりやすく書いていきます。経理を目指す人にも、すでに記帳までは分かる人にも役立つ内容です。月次を締められるかどうかは、副業で受けられる仕事の幅が変わるところでもあります。最後にその話も書きました。

月次決算とは?一言でいうと

月次決算とは、1か月ごとに会社の業績(売上・利益)と財産の状況を確定させる作業です。1年に1回の「年次決算(本決算)」を、毎月ミニ版でやるイメージと考えてください。

毎月の数字を締めることで、「今月、会社は儲かったのか」「お金は足りているのか」をタイムリーに把握できる。これが月次決算の核心です。

なぜ月次決算をやるのか(目的)

法律で義務づけられた年次決算と違い、月次決算は会社が自主的にやるもの。それでも多くの会社が行うのは、こんなメリットがあるからです。

  • 経営判断に使える:毎月の業績を見て、早めに手を打てる(年に1回では遅い)
  • 予算と実績を比較できる:計画通りか、ズレているかを毎月チェック
  • 年次決算がラクになる:毎月締めておけば、期末にまとめて慌てずに済む
  • 資金繰りを管理できる:お金の動きを早く把握し、不足を防ぐ

つまり月次決算は、「会社の健康診断を毎月やる」ようなもの。経営者にとって欠かせない判断材料になります。

月次決算の流れ(基本ステップ)

会社によって細かさは違いますが、基本の流れはこうです。

ステップ1:その月の取引を全て記帳する

売上・仕入・経費など、その月に発生した取引を全て会計ソフトに入力します。記帳の漏れがあると以降が全て狂うため、まず取引を完全に取り込むことが出発点です。

ステップ2:残高を照合する(チェック)

現金・預金・売掛金・買掛金などの残高が、実際の通帳や台帳と合っているかを確認します。ここで合わない部分を見つけて原因を潰すのが、経理の腕の見せどころです。

ステップ3:月次特有の調整をする

その月の損益を正しくするための調整を入れます。代表的なのはこのあたり。

  • 減価償却費の計上:年間分を12等分して毎月計上
  • 前払費用・未払費用の調整:その月に対応する費用を正しく反映
  • 在庫の確認:棚卸資産の変動を反映

ステップ4:試算表・月次資料をまとめる

締めた数字をもとに、試算表や月次レポート(損益の状況、予算と実績の比較など)を作成します。経営者が見て判断できる形に整えるのがゴールです。ここでExcelを使いますが、毎月おなじ形の表に数字を入れていくことがほとんどで、特別なスキルは要りません(経理で使うExcel)。

現場から経理歴22年の管理人

手順としてはこのとおりです。ただ実際の現場では、「締まる日」が1つではありません。私が担当してきた会社では、こうでした。

  • 本社の現預金/翌月1日に締まる
  • 各営業所の現預金と売掛金/10日ごろまでかかる
  • 買掛金/月末ごろ

一番遅いものがそろうまで、月次は確定できません。その結果、仮の試算表が出るのは翌々月のはじめごろになります。

「月次決算は5営業日で締めましょう」とよく言われます。でも拠点がいくつかあって、そこからデータが集まってくる会社では、そう簡単にはいきません。遅れているのは、あなたの作業が遅いからとはかぎりません。

実際に、1か月で何をしているのか

流れは分かっても「で、毎日は何をしているの?」が見えにくいと思います。ここではある1か月の実際の動きを、時期ごとに並べます。会社によって日付は違いますが、順番はだいたい同じです。

時期やっていること
月初(1〜3営業日)前月の請求書が届いているか確認。売上と仕入を確定させる。前月ぶんで抜けている伝票がないかを見る
月初〜前半取引先へ請求書を発行。支払いの予定を作る。経費精算のしめ切りを回収する
支払日の前支払データを作って確認。残高が足りるかを見る。振込の手続き
給与の締めのあと勤怠を集めて給与計算。控除の変更(保険・住民税・扶養)を反映する
中旬預金・現金・売掛・買掛の残高を合わせる。合わないところを追いかける
下旬月次の調整(減価償却、前払・未払の計上)。試算表を作る
締めたあと数字を上に報告。気になる動きがあれば理由を調べて添える
毎日入出金のチェック、伝票の入力、社内からの問い合わせ対応

ポイントは、月次決算は月末にまとめてやる作業ではないということです。毎日の入力と確認が積み上がって、最後に形になります。日々ためこむと、締めのときに一気に苦しくなります。

時間がかかるのは「入力」より「合わないところ探し」

作業として重いのは、伝票の入力ではありません。残高が合わないときに、原因を探す時間です。

  • 入金があったのに、何のお金か分からない
  • 請求書が届いていないので、金額が確定しない
  • 経費精算が出てこない

どれも、自分ひとりでは終わりません。人に聞かないと進まない仕事です。だから月次を早く締めたいなら、入力を速くするより「聞くのを早くする」ほうが効きます。

現場から経理歴22年の管理人

私が月初にまずやるのは、入力ではなく「足りないもの探し」です。請求書が来ていない取引先、出てきていない経費精算。ここを最初に見つけて、その日のうちに催促します。先に声をかけておけば、待っている間に他の作業ができます。逆に、順番どおりに入力から始めると、最後に足りないものが出てきて締めが止まります。

「締まる日」は1つではない

手順としてはこのとおりです。ただ実際の現場では、「締まる日」が1つではありません。私が担当してきた会社では、こうでした。

締まるものそろう時期
本社の現預金翌月1日
各営業所の現預金と売掛金10日ごろまでかかる
買掛金月末ごろ

一番遅いものがそろうまで、月次は確定できません。その結果、仮の試算表が出るのは翌々月のはじめごろになります。

別の会社では、翌月1日の午前中に仮の試算表が出て、確定したものは中旬ごろでした。同じ「月次決算」でも、会社によってここまで違います。拠点の数、データの集まり方、締めのルール——条件が変われば、締まる日も変わります。

「月次決算は5営業日で締めましょう」とよく言われます。でも拠点がいくつかあって、そこからデータが集まってくる会社では、そう簡単にはいきません。遅れているのは、あなたの作業が遅いからとはかぎりません。まず「どこで待ちが発生しているのか」を確かめてください。自分の手元で止まっているのか、データが来ていないのか。ここが分かるだけで、やることが変わります。

月次決算と年次決算の違い

月次決算年次決算
頻度毎月年1回
目的経営判断・業績管理(社内向け)税金計算・決算書作成(対外的)
義務任意(会社の判断)法律上の義務
精度スピード重視(多少の概算もOK)正確性が最優先

大きな違いは、月次は「スピード重視で経営に使う」、年次は「正確性重視で税金・決算書のため」という点です。

月次決算を早く締めるコツ(月次早期化)

「月次決算が毎月遅れる」という悩みは、経理の現場でよくあります。早く締める(月次早期化)ためのコツを、経験から紹介します。

  • 日次処理をためない:毎日コツコツ記帳しておくと、月末がラクになる
  • 会計ソフトの自動化を活用:銀行・クレカ連携で記帳を自動化(会計ソフト比較)
  • 締めのスケジュールを決める:「◯営業日までに締める」と期限を明確に
  • 完璧を求めすぎない:月次は概算でも早く出すほうが経営に役立つ
  • チェックを仕組み化する:照合の手順を決め、特定の人しかできない状態を防ぐ

特に効くのは「日次をためない」こと。月末にまとめてやろうとすると地獄を見ます。毎日少しずつ進めるのが、結局一番早く正確に締めるコツです。

一番時間を食っているのは、じつは「作業」ではないことがあります

早く締めるコツを書きましたが、そもそもどこで止まっているのかが分からないと、直しようがありません。私の場合はこうでした。

現場から経理歴22年の管理人

月次が遅れる原因は、私の場合「データが自分のところまで来ないこと」でした。仕訳を入力する作業そのものには、そこまで時間はかかりません。待っている時間のほうが長いのです。

やり方が長く定着している職場ほど、流れを変えるのには時間がかかります。「前からこうしているから」で回っているものを、いきなり変えることはできません。

それでも、1つだけ大きく効いたことがあります。税理士さんにお願いしていた作業の一部を、社内で引き取ったことです。これだけで試算表が出るのが1か月早くなりました。前は翌々月の中旬でしたが、いまは翌々月のはじめには出ます。

ただ、まだ遅いと思っています。いまは税理士さんがやっていた順番のまま進めているので、次は順番そのものを変えるのが私の課題です。

もし月次が遅いと悩んでいるなら、まず「どこで止まっているか」を見てください。自分の作業なのか、人待ちなのか、仕組みなのか。止まっている場所が分かれば、直す場所も決まります。

月次決算ができると評価が上がる

記帳だけでなく月次決算まで一人でこなせる経理は、働き手としての価値が一段上がります。

  • 転職で有利になる:「月次決算の経験あり」は求人で強い(経理の転職のコツ)
  • 年収アップにつながる:任される範囲が広がる(経理の年収とキャリアパス)
  • 経理副業でも武器になる:記帳代行から経理代行へレベルアップ

月次決算の土台になるのは簿記の知識です。簿記2級レベルの理解があると、決算整理の意味がしっかりつかめます。

この経験は、副業でこう活きます

月次決算まで分かっているかどうかは、受けられる仕事の幅が変わるところです。

「入力まで」と「締めまで」は別の仕事

副業でよくある記帳代行は、多くが仕訳を入力するところまでです。そこから先の「締めて、試算表を出して、税理士さんに渡す」まで分かる人は、ぐっと減ります。

ここまでできると、会社の中の人がやっていた作業を、そのまま引き取れることになります。

外から見るほうが、止まっている場所は見つけやすい

この記事で書いたとおり、月次が遅れる原因は作業そのものより「データが来ないこと」のほうが多いです。そしてそれは中にいる人ほど見えません。「前からこうだから」で回っているからです。

外から入ると、そこが見えます。「どこで止まっているか」を言えるだけでも、値段のつく仕事だと思っています。

受けるときに確かめること

  • どこまでを自分がやるのか(入力までか、締めまでか)
  • 資料はいつ・誰から届くのか。届かないときは誰に言うのか
  • 税理士さんが入っているか。入っているなら、やりとりは誰がするのか

とくに2つ目です。遅れの原因が資料待ちなら、それはこちらの責任ではありません。最初に決めておかないと、あとで自分のせいにされます。

まとめ

  1. 月次決算とは「毎月、会社の業績と財産を確定させる」作業
  2. 目的は経営判断・予算と実績の管理・年次決算の負担軽減・資金繰り管理
  3. 流れは 記帳 → 残高照合 → 月次調整 → 試算表・資料作成
  4. 年次決算と違い、スピード重視で社内向け
  5. 日次をためないのが、早く正確に締める最大のコツ
  6. 締まる日は1つではない。一番遅いものに引きずられる
  7. 遅れの原因は作業ではなく「データ待ち」のことが多い

月次決算は、会社の「今」を数字で映し出す大事な仕事です。記帳の次のステップとして月次決算ができるようになると、経理としての価値がぐっと高まります。

※本記事は筆者の実務経験に基づく一般的な解説であり、具体的な処理は企業の規模・方針により異なります。2026年6月時点の情報に基づきます。

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管理人|経理歴22年
現役の経理事務職(日商簿記2級/FP3級)/ keiri-fukugyo.com

日商簿記2級・FP3級保有。中小企業で経理を担当しながら、総務・労務・人事も兼任しています。これまでに勤めた会社では、一般事務や営業事務も経験しました。実務で培った知識をもとに、副業に取り組む人向けの情報を発信しています。

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